独立してから腹落ちできたことのひとつに、『雇用者と被雇用者の立場は、契約するまでは対等である』という気づきがあります。これは、フリーランスだけでなく会社員にも同じことが言えます。
契約後はもちろんその内容にのっとって働く必要がありますが、お金をもらう側だからといって契約前から相手にすべてを合わせる必要はありません。
むしろ、契約前こそこちらの意見をきちんと伝えるチャンス。遠慮してサインしてしまうと、あとでしんどくなるのは自分です。
契約前は対等。こちらも「選ぶ」立場である
これまで、転職活動やバイトの面接、フリーランスの打ち合わせなど、さまざまな場で相手と対話してきました。丁寧な対応をする人もいれば、明らかなに上から目線の人もいました。
――正直、「いや、こっちも選ぶ権利あるんですが?」と思うこともあります。
契約前の面接や打ち合わせは、本来“対等な立場”で行われるものです。お互いの要求をすり合わせて、合えば契約、合わなければ見送り。
それでいいんです。契約が成立するまでは、『交渉の場』であり『どちらも選ぶ側』です。報酬や条件を確認するのは、わがままではなく“当然の確認”。
むしろ、良いクライアントほど質問や確認を歓迎してくれます。
提示された条件をそのまま承諾する人が多すぎる
「単価が低いな」「納期きついな」と思っても、「これ断ったら次がないかも…」「関係を悪くしたくないし…」と我慢してしまう気持ちも分かります。
でも、それを続けると『要求がすんなり通る人』『多少無理を言っても言うことを聞く人』として扱われます。結果的に、良い案件や信頼される仕事は回ってこなくなります。
転職でも同じです。ちょっとした違和感を飲み込んで入社しても、いずれストレスが膨らみ、長くは続きません。
自分の身は、自分で守るしかない
独立して痛感したのは、「守ってくれる人も法律もほとんどない」という現実。
――何かあっても、基本は自己責任です。たとえばライター界隈では、
など、よく聞く話です。だからこそ、交渉の時点で気になることは細かく確認すべきです。
契約書は隅々まで読み、齟齬がないか確かめる。これは“慎重”ではなく“誠実”な姿勢です。
これは会社員にも同じことが言える
これ、フリーランスだけではなく、転職活動をしている会社員も同じことが言えると思います。
「給料、もう少し上がらないかな…」
「柔軟な働き方をしたいけど、言っていいのかな…」
そう思っても、交渉せずに諦めてしまう人が多い。
でも、契約前なら言っていいんです。むしろ、言うべきです。
僕自身、今クリニックからお誘いをいただいていて、勤務日数や労働時間については正直に交渉しました。結果、週4勤務と時間の再調整をしていただけることに。しっかり話すと、意外と聞いてもらえるものです。
もし「こいつ面倒だな」と思われるようなら、その職場とはいずれ価値観が合わなくなります。早めに分かるほうが、お互いに幸せです。
もやっとしたまま契約しても続かない
「まぁ、今回はいいか」で始めた仕事ほど、あとで後悔します。納得していない契約は、どこかで必ず軋みます。
だからこそ、事前に話す・聞く・確認する。そして契約したら、文句を言わず腹をくくる。
この流れが一番気持ちよく働けると思います。
あとから文句を言うほうがカッコ悪い
『要求を伝えずに、あとから不満を言う』
これは、個人的にはカッコ悪いなと感じます。
雇用主の立場から見ても困りますよね。「それでいいって契約したじゃん…」となるのが自然です。
もちろん、言いづらい空気があるのも分かります。でも、伝えないまま抱え込んでも結局しんどくなるのは自分。
「伝えなかった自分にも責任がある」
そう捉えたほうが次に同じ場面に出会ったときに、より良い結果につながるんじゃないかと。
まとめ:交渉とは戦いではなく、“すり合わせ”である
自分の要求を伝えることは、『わがまま』ではありません。「安心して働ける環境を作る」ための対話です。
相手の要望と自分の希望を丁寧にすり合わせて、納得のいく形で契約するための作業です。お互いに気持ちよく契約できた仕事ほど、信頼関係が長く続きます。
まっとうなクライアントほど、交渉を真剣に受け止めてくれます。僕が交渉中のクリニックの院長も「ご指摘ありがとうございます」と言ってくれました。
だから、怖くても言ってみてほしいです。
「ここは確認したいです」
「この条件だと少し厳しいです」
その一言が、きっとあなたの働き方を守ります。


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